棚卸しで「在庫画面は10個、棚では9個」と出たら、
すぐに画面を9個へ直したくなるかもしれません。

しかし、数えた棚が一つだけだったり、カウント中に出荷があったりすると、
差は見かけ上のものかもしれません。
今回は、現物と記録の数量差を調べる順番に絞ります。
返品商品の再販売判断は、別記事「返品商品の検品と在庫反映」で扱っています。

結論:先に比較の条件をそろえる

同じSKUでも、倉庫、保管場所、状態、数えた時刻が違えば、
二つの数量をそのまま比べられません。
まず「どの商品を、どこで、いつ、何個として数えたか」をそろえます。
その上で現物を再確認し、在庫の変更履歴を追ってから必要な処理を決めます。

本記事では、便宜上、差異=現物の数-比較対象のシステム上の数とします。
システムによって差異のプラス・マイナスの表示方向は異なるため、
利用中の画面の定義を確認してください。

1. 数えた範囲と時刻をそろえる

差が出たSKUについて、まず次を一行で記録します。

  • SKUと色・サイズなどのバリエーション
  • 倉庫、棚、箱など、今回数える保管場所
  • 「販売可能」「検品待ち」「取置き」など、含める状態
  • 箱単位か個数単位かという数え方
  • 現物を数えた時刻と、比較した在庫画面の時刻

たとえば画面の「販売可能10個」と、
検品待ちの商品まで含む「現物10個」は同じ範囲ではありません。
反対に、別棚にある1個を数えず「現物9個」としても差が出ます。

営業中に棚卸しを行うなら、カウント中の入荷・出荷・移動を記録します。
システム側で棚卸中の変動を自動的に扱うかは設定によって異なるため、
同じ動きを手作業でもう一度反映しないようにします。

2. 現物を再カウントする

数量を修正する前に、該当SKUを棚・箱ごとにもう一度数えます。
見落としやすいのは次の場所と入力です。

  • 別の棚や一時置き場、出荷待ち・取置きの保管場所
  • よく似た色・サイズの商品や、異なるSKUラベル
  • 1箱を1個として入力した場合と、箱の中の個数を入力した場合
  • 同じ箱の二重カウント、未入力の商品、誤った入力数

複数人で数えた場合は、対象の棚と担当範囲を分けて照合します。
棚卸ツールによっては、確定時に未入力の品目を0として扱う場合もあります。
確定前に、数え忘れたSKUがないか確認してください。

3. 入出庫の履歴を照合する

再カウントしても差が残る場合は、在庫変更履歴をカウント時刻の前後で確認します。

  • 受注・出荷で減った数量と処理時刻
  • 入荷で増えた数量と実際の入庫時刻
  • 倉庫間・棚間の移動元と移動先
  • 返品受付、現物到着、検品待ち、再販売可否の反映
  • 手動調整や連携処理の履歴、同じ処理の重複

画面上の数量だけでなく、注文番号や入出庫番号、SKU、保管場所を同じ一件に結び付けます。
連携が遅れている処理を見つけたら、反映後の数量を確認してから次の操作を判断します。

入荷した数量をいつ販売可能在庫へ反映するかは、「入荷した商品はいつ販売可能在庫にする?」で確認順を整理しています。

4. 差の原因別に処理を決める

仮の例:あるSKUのシステム上の数が10個で、棚Aでは9個でした。
差はマイナス1個に見えます。
しかし棚Bに同じSKUの1個があり、棚A・Bが両方とも棚卸対象なら、現物は合計10個です。
この場合、数の調整はせず、数えた範囲の記録を直します。

別のケースで、対象範囲をすべて再カウントしても現物9個なら、
出荷や移動の未反映、入力ミスなどを履歴から調べます。
該当する処理が見つかれば、その処理の反映状況を確認します。
原因が特定できない場合も、担当者と理由を残し、
自社の承認手順に沿って調整の要否を判断します。
未確認の1個を販売できる数として表示し続けないよう、販売先の表示数量も確認してください。

在庫調整を行う場合は、修正前の数、再カウントした数、調べた履歴、調整理由、
実行者と日時を一件に残します。
後から入出庫の連携が反映されたときに、二重で増減していないかも確かめます。

まとめ:差異の数字だけを直さない

棚卸しの差異は、対象範囲と時刻をそろえ、現物を数え直し、入出庫履歴を見てから判断します。まず一つのSKUを選び、保管場所・現物・画面・変更履歴を一件で照合してみてください。

運用記録の項目を見直す際は、無料の運用チェックリストも参考にしてください。

棚卸し中に注文や出荷が入った場合は、数えた時刻と出荷時刻をそろえて確認します。詳しくは「棚卸し中に注文が入ったら?在庫数を合わせる確認順」をご覧ください。

在庫差異の原因を確認した後は、数字だけでなく修正の理由と根拠も残します。
修正前後の数、確認した注文や入出庫記録を残す項目は
「在庫数を直す前に残す記録」で整理しています。

参考資料

参考資料は各サービス固有の操作例です。
記事本文の確認順は特定の在庫管理サービスの利用を前提としません。

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